もし今が世界滅亡寸前なら、いつものご飯の味はどうなっちゃうの！？ 〜Go Beyond 果てなき旅へ…〜

始めましてこんにちは。
毛粟 健（けもみ すこ）と申す者です。

　さて、早速ですが皆様、
『雰囲気』が味覚に及ぼす効果についてはご存知でしょうか？

ラーメンで例えるのなら、

『店はきたねーけど、味はうまい』と地元で評判の店から出されたラーメン。

対して、もう一方は小奇麗で本格的な中華料理店から出されたラーメン。

ラーメンの見た目、味付けは”全く”同じでも、想像する厨房の様子や周囲の雰囲気によって、味が変わりませんか？

恐らくですが、きたねー店の方が“こってり”している、と感じるはずです。

我々人間が生まれついての遍在性を持たないが故に、検証できないだけで、絶対そう。

これは完全な経験則になるのですが、

『二年間愛食した学食ラーメン、実は袋麵だった』

という全学食界震撼の闇を知り、めちゃくちゃムカついたので、その勢いで大学を中退した経験があるので、雰囲気のスパイスの存在は身をもって体感しています。単純に遊ぶ金欲しさに借金しすぎて学費を払えなくなったのもありますが。

とにかく私は、『雰囲気とは、塩や醤油に並ぶほどのドデカ調味料なんだ！！』という
事実を、多くの人に理解していただきたいのです。

これは、私の正当性を示すための戦いである。

という前置きもここまでに。

今回私が挑戦したいのは、
最強の『雰囲気飯』を作ること。

美味しいごはんをたくさん食べて満足するには、お金がかかる。
でも極貧生活を強いられている現状、高級な飯を食うにはいかない。

なら、どれだけ飯を食おうが無くならない“雰囲気”でカバーしましょうや。

ってワケです。

栄養なんて知ったこっちゃない。刹那的にうまい飯が食えたら私はそれでいいのです。
一瞬の快楽のために命を消費して生きる。それが人間だから。

周囲の状況…いわば、シチュエーションだけで飯の味を最大限に底上げしたいのです。

であれば、飯が最高においしくなるシチュエーションってなんでしょうか？

モカ・デ・タイ、トールサイズ、一つで（これはもう勘のいい読者であれば大体わかりますね。だってタイトルに書いてあるんだもん。あと期間限定のカフェモカ・デ・タイ風味トールサイズ一つでお願いします。の略）

時に、「今まで続けていたことをすっぱり辞める」という行為は、良くも悪くも人に大きな衝撃を与えます。今まで続けてきた仕事や勉学を辞める瞬間、どうにもならなくなった時に、明日の事なんて考えずに頭を空っぽにして食う飯はうまいのです。

なので私はどん詰まりに落ち込んだ時、
Twitterで時たまに見る、
『バイト中にクレーマーが出現し、やり過ぎた対応を取ってクビになった同僚……の、巻き添えでクビになった、という体験を少しだけ脚色した呟きが、Twitterでトレンドを風靡する程(具体的に言うと9万RT24万いいねぐらい)バズり、バ先の対応やクレーマーがひとしきり炎上した上で、ネット民に慰められ、自己顕示欲も満たされて嬉しい元限界アルバイター』
の気分になることで、心をリフレッシュさせています。

お金も手間も全くかからないので真似してもいいですよ。

そして『終わり』の次に雰囲気飯に欠かせない調味料と言えばコレ。

『他人の不幸』。

大昔から『蜜の味』などと名称されるコイツは、エア調味料として十分な役割を果たしてくれるはず。

第一、うまいものにうまいものを足して作ったものが不味いわけがない。

何を隠そう、私は追い詰められてヤケクソになった人間が瞬間的な爆発性ユーモアを生み出す瞬間が大好きなのです。それこそ、『n回死亡で即実況終了』というゲーム実況シリーズを、朝から晩飯までの飯の伴侶にできるくらいに。

『碗傍（わんそば）に狂いあらば、喰う飯うまし』

これは、私が座右の銘に定めていることわざの一つ。
古の権力者共も、インターネットを生きる私達と同じように、貧き民が生み出す狂ひ御諸（くるいおもろ）を楽しんでいたのかもしれませんね。

(椀傍に狂いのイメージ図)

どん詰まりの状況且つ、明日を考えなくていい。そしてヤケクソになった人間の不幸、奇行を眺められる。
この要素を併せ持つのは、もうおわかりでしょう？

『世界滅亡前日』しかありえませんわな！

人はよく言います。

「明日、世界が終わるなら何食べたい？」

その答えはただ一つ。
私が世界最期の日に食べたいのは、

日清のカップヌードル（醤油）。

結局のところ、死ぬ前に背伸びして美食を求めるより、いつも通りの時間に起床し、いつも通りの飯を食いながら、阿鼻叫喚と化したTwitterのTLを眺め、いつも通りの食事を口にして死ぬ方がいいのです。

逃れられぬ絶望を見据え、悟りにも似た諦観を胸に。
「もしかしたら、突然救世主が現れて、世界滅亡しなかったりするんじゃね？俺は何もしないけど」……というカスが抱く希望の残滓とともに消滅する。
これが私の終わりの美学。

滅亡直前に、誰もが求めるウマイモンを追おうものならば、世界中でありとあらゆる美食をガッツガッツリ捕獲まえている無敵の美食屋も真っ青な命がけの争奪戦になるでしょうし、そもそも、世界の終わりに好物を食べられる、
などという思想こそ、飽食が生み出した傲慢なのではないでしょうか？

終わりが来ないことを前提にして晩餐のメニューを考えるな。これから貴様らが目にする世界はグルメ界編突入後の人間界だと思え。

と、そんな意味でも、外で醜く争う亡者と化した人間を眺めながら、捕獲レベル0のインスタント麺をあるだけ啜るのも、また“乙”なのではないでしょうか。

……といったところで、ようやくここからが本題です。

世界消滅の原因ですが、ここは無難に巨大隕石の落下と行きましょう。

（隕石衝突のイメージ）

想定する舞台設定としては、隕石衝突により、世界が崩壊する寸前。
正気を失い、半ば亡者と化した人々が横行しており、平等に訪れる終わりを前に、辛うじて正気を保っていた人々はSNSを通し、思い思いの言葉を残していく。

そんな状況の中、私は『せめて最期の日は、以前のように』という願いのもと、
自室に籠って、「いつも通り」の生活を送ろうとする。
設定の方はこんなものでいいでしょう。

今一度言っておきますが、これは、労力と金をかけず、雰囲気を最大限に利用して、安価で飯を食うための挑戦である。

いざ。

……と、その前に。
余談にはなるのですが、この記事を書くにあたってかけた金額総額は、1722円でした。カップ麺が232円、記事を書く前に飲んだレッドブルが190円。その他はサイゼリヤでの食事が大半を占めています。とっても美味しかったです。

さて、突然ですが、
今日は世界最期の日。
倫理観の都合上、記事には写せませんが外の様子は阿鼻叫喚です。
玄関の前で、三人の露出狂がかち合って苦笑いをしていました。死ぬ前に全裸で街に飛び出してみたいっていう発想が被る事、あるんですね。

なんてことはどうでもいいので、
カップ麺に湯入(ゆい)、していきましょう。

カップ麺と言えば、不変の味の象徴たるイメージがあります。
あまりにも変わらな過ぎるので、私はこいつを実家の空気（エア・ホーム）と呼んでいます。
奥歯で味蕾をゴリゴリ削るのが最近の趣味なので、味の変化に鈍感になっているだけかもしれませんが。

さて、もう残り僅かの間ですが、暇つぶしに窓の外の景色を見納めておきましょう。
倫理観に反する画像は移さないのでご安心を。

「ジャッ！！」

いや、空赤っ。
世界終わんのか？
終わるよ。

……ん？

待てよ、これは……？

このアングル、日差しの方向…
最近流行りの『アレ』が出来るのでは…？

『人間をつかまえて

　　胃の中を調べる道具

　　　　　　　出して』

『わ わかんないっピ…』

タコピーの原罪単行本を発売日当日に購入し、読み倒しましたが、とんでもない漫画でした。ページをめくり、読み進めるたびに胃の腑は沈み、連続する急展開を前に、脳が何度も停止する。

しかし、【タコピーの原罪】という漫画は、
たった一回読んだだけでは、とても読み切れないほどに書き込まれているので、何度読み返しても良い。つまりこれが正解です。その地獄の家庭事情描写の連続は、
『読むボディブロー』と呼称しても良いでしょう。

ですが、社会問題として掲げられ続けている毒親、虐めに対して問題定義を投じるシナリオ、というだけでは、15週余りの短期連載期間、毎週Twitterのトレンドを沸かせる程の話題性を手にする結果など無かったはずです。

しかし、『タコピーの原罪』はとにかく、読者に対する『読ませ方』が非常に特出しているのです。

残念ながら私は、マンガ的な表現技法の知識をほとんど持ち合わせていないのですが、物語の進行と共に揺らいでいく登場人物の好感度調整がとても丁寧で、無駄な登場人物が一人として見当たらないように描かれている、と感じました。
しかもそれでいて、緻密な伏線がこれでもかと詰め込まれている。

そして物語の根幹にかかわる部分ですが、
特別な力は無い、持っているのはいまいち使えないポンコツ道具ばかり。
でも、「何があってもそばに居て、お話をしてくれる友達」であれば、それでいい。
そんな構図の描き方が上手すぎるんですよね…

なぁ、タコピー…。次は劇場で会わないか…？

と、タコピーへの想いの丈を残した所で。

世界が滅亡するなら普段は言えないようなセリフとか、言ってみたいですよね。
この機を逃せば、本当の意味で次はありませんから。

『ちょっと、不謹慎かも知れないけどさ……言っていい？』
　世界の終わりを前にして、穏やかに、しかしその語気に、確かな諦観を含めて呟く。
『二億年前に生きた恐竜たちも、底抜けにきれいで……でも無慈悲な流れ星を間近に見たのかな。』
そして一つ、嘆息。
『なんて、あの世で恐竜に聞かなきゃわかんないか』
何人たりとも逃れざる終焉を前にしてさえ、その顔に張り付けた微笑を歪めることなく……

こんな感じで、普段なら恥ずかしくて言えないセリフ(細やかな情景描写付き)を吐いたって全く問題なし。だって明日世界滅びるんだもん。

……でもこんなに真っ赤な空、ずっと眺めてたら気分悪くなるな。
じゃあ、いつも通りTwitterでも見……

『りんご、オレンジ、もも』

……？

『タンジェリンパインアップルぶどう砂糖ぶどう糖高麗人参根エキスL-カルニチン‐酒石酸塩塩化Naガラナ種子クエン酸香料炭酸D-リボーススクラロースL-アルギニンカフェインクエン酸Naβ‐カロテンアントシアニンナイアシンイノシトールビタミンＢ5ビタミンＢ12』

”きた”か……

カオス モンスター
”混沌の魔物”がもうここを嗅ぎ付けやがったようです。

でも俺は負けねぇ…！！

『いつも通り』の生活を送ってやるんだよ！！

うおおおおおぉぉぉぉぉぉああああぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！

ヤ――――――――ッ！！！！

どうにかなれ――――ッ！！！！

…………………………………………

………………………………

……………………

はい、というわけで、どうにかなりました。
まさか、かの有名な墓暴千秀太郎 参（はかあばきちのひでたろう にのつぐ）が率いる、惨跋衆（さんばつしゅう）の刺客が襲って来るとは………。

首から取り外した塊は、正気を失った人間一人から数グラムしか取れない希少部位。

通称、『暴れ玉』です。主に武器の強化に用います。

レア素材も手に入れた所で、

いつも通り、Twitterでも見るか。

.........やはり平等な終わりを前にして、大勢の人々が暴露大会を開催しているようです。

まさかあの有名なマジック三井が本当に超能力者だとは思いもしませんでしたね…。

(例のSE)

私が求めていたアレにようやく出会えました。

NASAによる隕石の軌道計算結果、『人類滅亡は確定した』と報告されてから、
はや二年。今年、2202年は一月から五月までの間に、314159265589442代変わった激動の半年弱でした。
蟹車現首相は重力魔法の使い手なので信憑性が0ではないのは確かですが……
正に世紀末。政府に疑いを持つのも仕方ないことなのでしょうか。

っと表向きにはしんみりしておきましょう。

平等なる死の前にして、吹けば飛ぶような陰謀論なぞ無意味。
世界の救済は特別な素質を持つ誰かに任せればよいのです。

あ、そうだ。

私も世界滅亡直前に、言い残したい言葉があったんですよ。

（ポチポチ……）

『Ｌサイズのカップ麺買ってスープまで飲んだけど、世界滅亡時の超巨大熱量の前には、カップ麺のカロリーなぞ、0も同然』

……っと。
まだ一口も食ってないですけどね。

さぁ、ユーモアの吸い殻のようなツイートも遺した所で……

……本当に食うか！！

良質な狂いを摂取し、何より終わりの雰囲気も整っていい感じ。
これなら理論上、何喰ってもうまいはず。

ホンジャマカ、頂きやす！！

ｽﾞｽﾞｯ、ｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞ!!!

うん、うま…！

は？

（っていうか、Ｌサイズ食うの初めてなんだけど……思った以上に多いな……）

いや、そうじゃなくて、違うんだよな……
麺が重たいって言うか……

私の計算が正しければ、世界滅亡寸前という雰囲気スパイスで最高にうまい飯になるはずなんだが？

確認のため、
再ズゾゾ……

……いや、そんなわけない。そんな結果で納得いくわけないだろ。
カップ麺で失敗するとか、そんなベタすぎるメシマズキャラじゃあるまいし……
私の味覚が狂っているだけで、失敗なんて、するはず……

『湯入、していきましょう』

『わ わかんないっピ…』

『Twitterでも見るか…』

そうだ…俺は……

大切なことを…

「カップ麺は便利だけど、湯を入れなきゃ食べられないんだぜ！」

「ラーメンって伸びるとまずいらしいよなぁ……」

「覚えておくといい、カップ麵は湯を入れてきっちり三分測らんといかんのじゃ……」

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！

『カップ麺
伸ばしたヌードル
もたまずい』

世界最期の晩餐がこれは嫌だ！！！

いやだ！！俺は死にたくない！！！
せめてちょっとだけでも待ってくれ、三分だけでいいから！！！！！！
でもスープはうめぇ！！この気持ちは何だろう！！！

あぁぁ！！
こんな事になるなら、欲張らずにレギュラーサイズのカップ麺で我慢しときゃあよかったんだあぁぁぁぁぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！！

『うわああぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！』

『なんだ……』

『また、この夢、か……』

end D『旅人が最期に見た幻』